11.20天皇制いらないデモ実行委員会ブログ★

自己責任論を作り出すもの――生活困窮者からみた天皇制  高沢幸男さん(寿支援者交流会事務局長)

◆6.3天皇制いらない集会発言 その4

自己責任論を作り出すもの ―生活困窮者からみた天皇制 高沢幸男さん(寿支援者交流会事務局長)

 みなさん、こんにちは。

私は、日本三大寄せ場の一つ、横浜の寿町で、野宿生活者や生活困窮者を支援しています。

私自身は天皇制問題をほとんど話したことがないので、発言させていただいて極めて不見識だったりしたら申し訳ないと思いました。ですが、野宿生活者を支援している仲間から声をかけてもらったので、参加させていただきました。生活困窮から見た天皇制をテーマに話したいと思います。

最初に言っておかなくてはならないのですが、今から28年ほど前の昭和天皇から今の天皇への代替わりの時の「大嘗祭・即位礼」を目前に控えた1990年11月、横浜の寿町では「白手帳弾圧」と呼ばれる弾圧があり、3名の仲間が予防拘禁的に逮捕されました。

これが一体何だったのかを話していくと私の持ち時間がなくなってしまうのでまたの機会に話させてもらいたいと思いますが、このような手段を使ってでも天皇制に対して反対を表明しそうな人たちの言論は弾圧されていくことはみなさんと共有させていただきたいと思います。

生活困窮者の取り組みをやっていく中で思うのは、市民の理解がなかなか進まないことなんですね。なぜ市民の理解が進まないのかを考えていくと、その根本にあるのは、ある意味天皇制なのかなと思います。
その理由は、「生まれながらに尊いものがいる、その反対に生まれながらにダメな奴がいる」、こんなことがある種当たり前のこととして捉えられてしまっていて、「貧困は自己責任」という言葉が平然と言われてしまう。人間は平等のはずなのに、生まれながらの差別が肯定的に捉えられてしまうのです。

前の発言者からも原発問題の話がありましたが、辞任した前復興相の発言にも、「自己責任論」がありました。

でも、被害を受けている放射能は、国策で原発を作ったから生み出されたのです。そのために、逃げざるを得なかった。それなのに、自己責任と言われてしまうんです。こういうことがたくさん世の中で起きているのです。

「生まれながらにして貴い者がいることと対に、生まれながらにダメな奴らがいる」と思ってしまう認知の構造があるからこそ、差別が合理化されてしまいます。

例えば、貧困の連鎖でなかなか学校に行けない。進学できない、スキルを身に着けられない、そして、低学歴で資格もないため、仕事が安定しない。こういう形が作られてくるわけです。
これは自己責任なのでしょうか?

生活保護者のデータによると、
現在生活保護を受けている人のうち、自分が育った世帯でも保護を受けていた方は約25パーセントです。4分の1以上の方は、貧困の連鎖で貧困状態を続けさせれています。
母子世帯で生活保護を受けている人に限ると、約4割の人が育った世帯でも生活保護を受けていた、というデータが出てきています。
本当に困窮は連鎖しています。貧困ゆえに、様々な可能性から排除され、生活が安定しなくなっているのです。

高校や大学に進学できないから、非正規雇用になってしまう。非正規雇用が続くから生活が安定しない。非正規だから一つの職場に永くいることもできず、結果的には自分に必要なスキルも身につけられない。連鎖している貧困のために、資格取得などに利用するお金もない。結果、厳しい状況に置かれ続ける。やる気を出して安定した仕事に就職しようとしたりするけど、学歴が低いからなかなか正社員にはなれない。
それなのに、正社員になれないのは努力しなかった自己責任だ、非正規雇用は自己責任だ、そんな言葉を言われて、努力することや安定した生活を夢見ることからも排除される。そんな生活に困っている仲間たちが作り出されてしまう。

しかも、社会は生活困窮者に対して厳しくて、命の問題とお金の問題が同列に語られるんです。これが、小田原市の生活保護課のジャンパー問題です。生活保護のケースワーカーが「不正受給を許すな」「不正受給者はクズ」というジャンバーを着ていた問題です。
小田原市は、「この件についていろんな意見をいただいたけれど、そのうちの4割は、不正受給を許さないというのは正しい、今後もがんばってほしい、という応援だった」という発言もしています。
でも本当にそうなんでしょうか。

本来、すべての人間が生きる権利を保障されるべきだし、単に生きる権利だけではなくて幸せであることを思い描く権利も保障されなければならない。これは憲法にも書いてある権利ですよね。これが保障されないから貧困で困っている人がいるし、対策が十分でないから貧困の連鎖で厳しい思いをしているんです。
生活に困って生活保護を使おうとしたら「不正受給を許すな」と言われる。人の命とお金を同列に扱われた結果、生活保護を受けることが恥かしいことになり、実質、社会保障から排除される。

 

不正受給は受給者ベースでいっても1.数パーセントと本当にわずかなんです。しかも、この中には、高校生が世帯で生活保護を受けていることを知らないでアルバイトしてしまって、福祉事務所に申告していないため、不正受給とされてしまうケースも含まれます。悪意のある不正受給は本当にわずかです。

ほかの困窮世帯と比べても非合理な部分があります。例えば、子どもがアルバイトをして運転免許を自分のお金で取ったら、普通は「がんばったね」と言われます。でも、生活保護を受けていることを知らずに申告しないと、自分の将来のためのお金でも、不正受給と言われてしまうんです。こんなことが実際におきているんです。

不正受給問題を考える時に、いつも思い出すのは、お笑い芸人の母親が生活保護を受けていて大バッシングされた話です。
親が生活保護を受けるぐらいの状況ということは、お笑い芸人も困窮の中に生きて下積み生活を経て、たまたま成功をつかんだ。しかも、母親のために必要な扶養は、自分ができる範囲内でやってたんですよね。それなのに不正受給と言われて大バッシングされた。最終的には親の生活費の面倒を全部見るということになった。

これは、場合によっては、生活費や子どもの教育費を削っても、親の扶養を優先するということです。
困窮者はしんどい思いをして結果的に成功をつかんだとしても、親の面倒を見なきゃいけない。
一方で、金持ちはどうでしょうか。中学から私立に通って、そして自分に必要なスキルを身につけるために大学進学して、就職活動に必要なスーツもカバンも買ってもらえて、親のコネもあって就職できる。そして、安定した就職をして、金持ちはより豊かになっていく。豊かになっても、親の生活費の面倒なんてみなくていい。
こんな格差が当たり前に行われてどんどん進められている。困窮者は成功しても親の貧困の面倒を見なくてならず、金持ちは富の連鎖でより金持ちになっていく。こんな現実がいま行われているのです。

私たちは困窮者と向かい合う中で、貧困の連鎖と富の連鎖を考えていかなければならないと思っています。

野宿者を支援している中で、「お前たちは何者だ」とよく言われます。
心ない人たちから、「お前らが甘やかすからいけない」と言われます。
「お前たちは何者なんだ」と問われたら、私たちは「一番しんどい仲間とともに生きていきたいと思っている者たちの集まりだ」と、答えています。
週に一回訪問したり炊き出したりしたぐらいで、野宿生活の状態を維持することなんて、実際には無理です。それでも、あなたを気にしている人がいる。あなたとともに生きて行きたいと思っている人がいる。そんなメッセージを送りながら、活動を続けています。

今、皇族の結婚が話題になっています。生まれながら貴いものは、結婚しようとなったら億単位の持参金を持たせてもらえる、なんて話になっています。
一方で、困窮者は困窮ゆえに、結婚もできない、就職もできない、子どもも持てないという人がたくさんいます。
結婚するか、子どもを持つかは、それぞれが判断する自由ですけれども、そもそもそれを選択肢から最初から奪われている困窮者がたくさんいます。
このように、生まれながらの差別が存在していることは、重大なことです。
生まれながらに貴い人がいるということは、逆に貧困を押し付けられ貧困の連鎖の中で生きて行かなければならない人がいる。そういうことを考えていくことが重要になってくると思います。

天皇制は、貧困を固定化し、貧困の連鎖でしんどい仲間をずっと固定化する。そういう理不尽な社会構造を合理化するツールになっていると思います。
だから私たちは、このような理不尽さに対して、一人ひとりが「生まれてきておめでとう」「生きていてありがとう」と思ってもらえる、そんな温もりのある社会を作りたいと思って、日々路上を回っています。

最後に、野宿生活者襲撃問題も話したいと思います。
管理社会の中で息苦しいと思っている学生たちが、よりしんどいものを叩くことで、「自分よりしんどい人がいる。あの人たちよりは自分の方がマシだ」という歪んだ自己肯定感を持つようになる。

未来を担う子どもたちが襲撃をするほどのストレスを抱えている社会って、しんどいですよね。よりしんどい野宿生活者をストレスのはけ口にする。貧困は自己責任という前提があるので困窮者に対しては何をやってもいい、という理不尽さがあると思うのです。
そういうものを認めない! 今日は問題提起の場として、考える場として、いきたいと思っています。最後までこの集会一緒にやっていきたいと思います。よろしくお願いします。

 

 

……………( ..)φ メモ ( ..)φ……………

2017年度の生活保護は、

 生活保護受給者214万2000人に対して2兆9000億円(1人=約130万円)

 

〇予算(平成29年度厚生労働省予算概算要求の主要事項より)
生活保護に係る国庫負担 2兆9074億円
――生活保護を必要とする人に対して確実に保護を実施するため、生活保護制度
に係る国庫負担に要する経費を確保する。

〇2017年2月生活保護調査

  …受給者214万1881人(163万8944 世帯)
(社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会第1回資料4、2017年5月11日)

 

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2017年度の皇族のための費用は、

皇族19人に対して62億2000万円(1人=約3億2740万円)

 

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